浄化槽の清掃(汲み取り)後に水張りをしなければいけない理由
浄化槽を長年使用していると、浄化槽の「清掃」が必要になります。この浄化槽の清掃とは、水洗い等の清掃ではなく、汚泥やスカム(浮遊物)をバキュームカーで汲み取る作業のことを指します。
その清掃後に、業者から「水張りをお願いします」と言われた経験はありませんか?本記事では、なぜ浄化槽の清掃後に水張りが必要なのか、正しい水張りのやり方はどうするのかについて解説していきましょう。
浄化槽の点検と清掃の違いとは?
浄化槽の保守点検を定期的に行っていると、清掃はしなくても良いと考えている方もいるかもしれません。しかし、浄化槽の保守点検と清掃は全くの別物です。
浄化槽の保守点検では、主に浄化槽の各種つまみの調整、水質検査、清掃時期の判断などを行っています。ちょっとした破損や詰まりが発生している場合も、この保守点検で修理や調整を行います。
保守点検の際にマンホールや浄化槽内を水洗いしている業者もあるかと思いますが、この時の掃除は保守点検業者や汲み取り業者が指す浄化槽の清掃とは異なるので注意してください。
一方の浄化槽の清掃では、浄化槽内に溜まった汚泥やスカムを引き抜いて浄化槽を綺麗にします。この清掃時は、各部の微調整を行うことはしません。清掃業者は、汚泥を汲み取ったら専用の処理場に汚泥を運び、清掃作業は完了となります。
浄化槽の清掃後に水張りが必要な理由
浄化槽の清掃が終わると、その後に必要になるのが「水張り」という作業です。水張りは名前の通り、浄化槽内に水を入れて槽内の水位を一定の高さまで上げます。
水張りが必要な理由は、以下の通りです。
- 土圧で浄化槽が変形しないようにする
- 微生物が活動しやすい環境を作る
浄化槽は土の中に埋められているので、絶えず外から土圧がかかっている状態です。このため、浄化槽の中に水を張って外側に水圧をかけることで、圧力のバランスが保てるようになります。
また、浄化槽内で汚泥を処理してくれる微生物は、水がないと生きていけません。槽内の水の中に適度な空気を送ることで、微生物が活性化して汚泥は処理されていきます。
上記のように水張りは、浄化槽の変形を防ぐとともに汚泥の処理をするうえで欠かせない作業です。
一般家庭での正しい水張りのやり方とは?
次に、一般家庭での正しい水張りの方法を解説しましょう。水張りの方法は、単独浄化槽(みなし浄化槽)と小型合併浄化槽で多少異なるので個別に解説します。
どちらの浄化槽の場合でも目安となる時間はおよそ1時間~1時間半程度ですが、浄化槽の機種や人槽によって水張りの時間が異なるので、清掃業者にどの位で水を止めたら良いか確認するのが確実です。
単独浄化槽(みなし浄化槽)の水張りのやり方
まずは、単独浄化槽の仕組みから解説しましょう。
単独浄化槽とは、排水の中でもトイレの排水のみを処理する浄化槽です。そのため、単独浄化槽に水を流入させるには、トイレを流すか浄化槽に直接水道水を入れるという方法しかありません。
トイレから水張りをする場合は、トイレを流すレバーをテープ等で固定しておくと自動で水張りができるのでおすすめです。テープの粘着が気になる方は、レバーを固定できるように厚手の布や紙を挟んでおくと同様の効果が得られるでしょう。
浄化槽に直接水道水を入れる場合は、マンホールからの水張りをしないようにしてください。マンホールから水張りを行うと、以下のようなデメリットが懸念されるからです。
- 浄化槽内に落下する危険性がある
- 浄化槽の臭いが外に漏れてしまう可能性がある
浄化槽に直接水道水を入れる場合は、必ず浄化槽の近くにある汚水桝から水張りを行ってください。
汚水桝は、3か所の窪みのどれかにマイナスドライバーを差し込むと簡単に外れます。
もっと単独浄化槽について知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
小型合併浄化槽の水張りのやり方
次に、小型合併浄化槽の仕組みについて解説しましょう。
小型合併浄化槽とは、台所排水、お風呂の排水、洗濯排水、トイレの排水をまとめて処理できる浄化槽です。その中でも、台所とお風呂からの水張りを推奨する業者が多いのですが、それには以下のような理由があります。
- 水を出すのも止めるのも簡単にできる
- 家の中だけで完結できる
そして、少しでも水道代を節約をしたいと考えている方は、清掃が終わるまで洗い物、浴槽の排水、洗濯を待つことをおすすめします。水張りのタイミングでこの2つをこなすことで、単純に水道水の節約に繋がるからです。
その他、小型合併浄化槽について知りたい方は、以下の記事を併せて読んでみてください。
チクセイ21では適切な清掃時期のご案内をしております
株式会社チクセイ21では、浄化槽の保守点検時に薬剤の補充や各種つまみや装置の調整だけでなく、適切な清掃時期のご案内をいたしております。
清掃時期は浄化槽の機種、人槽、使用人数や家族構成によっても大きく異なります。清掃をしないで汚泥を溜めすぎてしまうと、浄化槽から汚泥が溢れてしまうという危険も。
安心して長く浄化槽を使用するためにも、ぜひ当社に浄化槽の保守点検をお任せください。お見積もりは随時無料にて行っております。