合併浄化槽とは?構造と機能について解説
この記事では、合併浄化槽についての解説をしていきます。古くなった浄化槽の入れ替えを検討している方は、本記事を参考にしてみてください。
合併浄化槽とは?
合併浄化槽とは、トイレ、台所、お風呂、洗濯機の汚水をまとめて処理する浄化槽のことです。トイレの汚水のみを処理するみなし浄化槽よりも浄化能力に優れているので、環境に優しいというメリットがあります。
合併浄化槽では、有機物(BOD)の除去率が90%、濃度が20mg/L以下になるよう設計されています。そのため、合併浄化槽は、みなし浄化槽の約8倍の処理能力とも言われています。
2001年に施行された改正浄化槽法によって、現在新規で設置できるのはこの合併浄化槽のみと定められました。
合併浄化槽の種類
現在一般家庭で使用されている合併浄化槽は、大きく分けて以下の2種類に分類されます。
- 嫌気ろ床接触ばっ気方式
- 脱窒ろ床接触ばっ気方式
それぞれの種類について詳しく解説していきましょう。
合併浄化槽:嫌気ろ床接触ばっ気方式
嫌気ろ床接触ばっ気方式は、嫌気ろ床槽のろ材と接触ばっ気槽(もしくは担体流動槽)の接触材や担体で有機物を分解していく処理方式です。
嫌気ろ床槽が2槽に分かれているのが特徴で、処理された汚水は消毒槽で大腸菌などの菌を消毒してから放流されます。
嫌気ろ床接触ばっ気方式の保守点検の頻度は、
- 処理対象人員が20人以下の浄化槽の場合で4ヶ月毎
- 処理対象人員が21人以上50人以下の浄化槽の場合で3か月毎
と定めされています。
嫌気ろ床接触ばっ気方式は、合併浄化槽の中で現在最も普及している浄化槽のタイプです。
合併浄化槽:脱窒ろ床接触ばっ気方式
脱窒ろ床接触ばっ気方式は、大まかな構造は嫌気ろ床接触ばっ気方式と同じですが、嫌気ろ床槽の部分が脱窒ろ床槽になっています。
脱窒ろ床槽では、嫌気ろ床槽と同様に有機物の分解を行うだけでなく、汚水に含まれている窒素の除去を行います。窒素をそのまま放流してしまうと、藻類の増殖を引き起こし、プランクトンの異常発生の原因となり、結果として水質悪化を招いてしまいます。
脱窒ろ床接触ばっ気方式の保守点検の頻度は、嫌気ろ床接触ばっ気方式と同様に、
- 処理対象人員が20人以下の浄化槽の場合で4ヶ月毎
- 処理対象人員が21人以上50人以下の浄化槽の場合で3か月毎
と定めされています。
合併浄化槽の必要性
なぜ法律を改正してまで合併浄化槽の設置を促しているかと言うと、その理由は環境汚染の防止にあります。
私たちが流している生活雑排水のうち、70%以上はトイレ以外からの排水だと言われています。トイレの排水のみを処理するみなし浄化槽は、この生活雑排水のうちたった30%しか処理ができていません。環境汚染を抑えるためには、生活雑排水を全て処理できる合併処理浄化槽の設置が必要になってくるのです。
環境省の調査によると、2018年末の時点でのみなし浄化槽の設置数は、3,912,343基であると公表されています。このみなし浄化槽をいかに合併浄化槽に切り替えていけるかが、今後の課題となっています。
みなし浄化槽についての詳細は、以下の記事を参照ください。